2021年9月。全国高等学校クイズ選手権で奈良県代表として出場した西大和学園高等学校が初の優勝を果たしました。そんな快挙を成した出場メンバーである、高校3年生の釣井さん、島本さん、高校2年生の柴田さんの3人にお話を伺いました。
高校生クイズ全国優勝を果たした今の心境
全員:単純に嬉しいです。
釣井さん(以下釣井):正直その場の運みたいなところもあったんですけどね。でもこのチームだからこそできたことだと思います。
島本さん(以下島本):まず、芸能人にたくさん会えたのが嬉しかったですね。
釣井:日向坂に会えたんですよ。僕は日向坂のファンで、出場の理由がそれだけじゃないですけど日向坂に会えるっていうのもあったりするので。
奈良県代表として出場できると決まった時の心境
島本:去年は柴田くんと私が同じチームで奈良県大会に出ていて、去年も県大会では優勝したんですけど、去年は1位と2位で代表決定戦みたいなのがあって、そこで負けたので前回は全国大会に出ることができなかったんです。今年からは県大会で優勝したチームがそのまま全国大会に出場できたので、勝ち目はあるかなと。
釣井:うちは結構予選の早押しとか得意なんです。それに、今年の県大会は去年より結構手応えがあったので、(全国大会)行けるだろうなと思ってました。
柴田さん(以下柴田):いや手応えは去年と一緒でしたよ?
島本:うん、去年ここ2人は優勝してるから一緒だった。去年と比べて相対的に手応えを感じただけじゃない?
釣井:そうかも。
柴田:奈良を勝ち抜いたのが、ぶっちぎりで正直奈良県予選突破した時点である程度の自信はありましたね。
島本:高3なんで、先生方に奈良県代表に決まったとき反対されました。顧問の先生は全面的に応援してくれたけど、学年部の先生に受験があるから最悪辞退した方がイイと言われて。
二回戦で目視をすると決めたときの心境
島本:事前に時間があって、その時に方法を考えたり道具を作ったりする時間があったんですけど、となりの高校が画期的な方法でやっていて、アナウンサーの方がそっちを盛り上げていました。でもうちは何もできなかったので目視で行こうと判断しました。
釣井:カマイタチの人に偏差値76が目視で言っている!!と大声で言われてスタジオは盛り上がったけど内心地獄でしたね。結果的に200個中180個ほど正解していたし、目視だから早く終わって時間的なペナルティはそこまでなかったので良かったです。
島本:控室で灘とかの人から何分やった?とか何個合ってた?とか話してお互いに駆け引きをしてました。
釣井:セットを交換しているときに船越英一郎さんが1組めが、かなり優秀だったけど、西大和学園はどこまでくいこめるか?と言われてかなりプレッシャーを感じました。
水槽の問題の裏話
島本:実はあれ2回目のチャレンジなんです。事前に20分やってたんですよ。
柴田:有名な問題だったらしいんですけど3人とも知らなかったよね。
島本:事前にスタッフさんから自分たちの動きとは関係ないと言われていて、2回目から司令室に水槽しか映らない画面が増えていたんで水槽使うのかな?と思って、試しに言ってみたら合ってました。
準決勝での心境
釣井:準決勝は最初の方はお通夜モードでした。早押しがあの高校の中でも得意な方というプライドもあって、取れてなかったのがきつかったです。
柴田:10問しか無いと事前に知らされていたけど、7問目まではお通夜でした。あと3問しかないのに2点差ってどうやって勝つんだろうと思っていました。
釣井:テレビ的な演出により1問3点になったし、水道の問題と鉄道の問題がわかって、6点で点差ができたのでちょっと安心しましたね。
決勝での裏話
柴田:トロフィーを掘ったらスタッフさんに怒られました(笑)。こっそりバレないようにちょっと掘ってましたけど。
島本:多分あれ1時間くらい掘ったら取り出せると思う。
釣井:1時間半くらい防塵マスクと長袖ヘルメットで収録していて終わったときには汗だくでした。時間がかなり押してて本当はあと10分でどの学校も掘り出せなかったら引き分けと言われていました。
島本:アイデアは合っていたけど工作が下手くそだったので、ものづくり大学の偉い先生が急いで階段を登ってきて、つなぎ目をもっとしっかり巻くといいとアドバイスされました(笑)ゴミ袋なんて10枚くらい貰って。
柴田:掃除機は砂を吸っていたのとコードを切ってしまったので再起不能になりました。
釣井:となりの済々黌高校が初めの方から砂が吹き出しててアナウンサーの人がこれは済々黌高校が勝つか?と言われていてもうだめかと覚悟しましたね。
砂はかぶりたくなかったけど、優勝したときに後ろで砂が吹き上げられていて、祝福されているみたいな気持ちになりました。祝福の雨みたいな。
オンエア前の裏話
釣井:CMがツイッターに流れてて学校名は伏せられてたけど顔は写っていたので、見た人が見たら決勝戦出てることがネタバレされてたんですよ(笑)。
島本:(釣井さんは)割と有名なクイズの人だから結構バレてたよね。オンエア前はクラスの人には隠し通してましたね。
柴田:僕も県大会落ちして「はぁ…」みたいな雰囲気を出して隠していました(笑)
釣井:そもそも一回戦出たこともクラスの数人にしか言ってなくて、オンエア前クラスの1人にCMを見られて、決勝出てるじゃんと聞かれて、人違いだとごまかしました。
島本:なるべくCM見られないように頑張りましたね。
オンエア後の変化
島本:なんか歩いてたら、全く知らない人に握手求められました。
釣井:あ、僕も中学生に囲まれましたね。
柴田:「あっクイズの人だ!」って?
釣井:そうそう(笑)
一番焦った瞬間
釣井:一回戦ですね。島本さんの家で参加していたんですけど。1問間違えたら二回戦に出場できないと言われていて、1問目から間違えてすごい焦りました。
島本:自分たち以外が全部正解していたらどうしようと思ってました。
釣井:結局3校しか正解してませんでした、1番子供が生まれる日は?で島本さんが4月2日といっていてソースがはっきりしていたからのっかったのに結局クリスマスが正解でした。
柴田:あの問題、納得いかないんですよね。理由がはっきりしていなかった。まあ、3人とも全体的にずっと焦ってた感じはありましたね。
控室での裏話
島本:水戸第一高等学校の安藤くんが控室でずっと喋っていました。二回戦の控室は灘と三回戦出場した三校でみんなやばいって言っていて傷の舐め合いみたいなのしてました。
釣井:QuizKnockが1回1回試合が終わるごとに控室に降りてきて、敗退チームは即帰宅だったからサインとか写真とかをしてもらっていました。これすごい後悔してるんですけど、僕たちは2日目の決勝の後に写真とか撮ってもらおうと思ってたんですよ。でも決勝が長引いてその後の収録スケジュールを押したのでかまいたちさんたちと写真撮ってもらえなかったという…
今後の目標
柴田:来年も100万円ゲットしに行きたいです。でも来年も今年と同じ形式だと自信はないですね。
釣井:大学受験を頑張って、大学でもクイズをやりたいです。
島本:私はあんまり2人みたいなのはないんですけど、これから勉強頑張ります。
編集長より
学園長が、育友会報「信頼」の中の「卒業生に『贈る言葉』」で次のように触れています。
探究 誠実 気迫
西大和学園高校が優勝した第41回全国高等学校クイズ選手権。代表3人の奮闘ぶりは多くの人たちの感動を呼んだ。掃除機の風を逆送りして砂を巻き上げるという発想は、今回のクイズ選手権のコンセプトと見事に合致した。「ソウゾウ脳」、(想像×創造)する力を問うというクイズがどんどん出題された。その中で西大和学園のクイズ研究部の3人が力を発揮したという事が興味深い点だった。
もう一つ好きな場面がある。僅かな大きさの差のボールを仕分ける場面だ。道具を使った仕分け装置を懸命に探したチームは結局、時間との勝負に敗れた。西大和学園のチームもその時間と闘いながら、もうだめかと思われた瞬間、最後の手段として選んだのが「目視」だった。そして、勝ち抜いた。多くの視聴者の共感を呼んだはずだ。人が土壇場に追い込まれたときの最後の手段。
我々の生活の中でもよくある話だと思った。例えば、多くの科学者や研究者は最先端のスキルだけでは世紀の発見や発明は生まれないという事を知っている。スポーツの世界でもそうだろう。努力に支えられた最高の技術があって、諦めない心や最後までやり抜く力はもちろん大切だが、最後に決め手になる何か、それは、ものすごくアナログで、オーソドックスで、基本的だったりするのだろう。
西大和学園の「校訓」を思い出した。
新たなものを生み出す探究心
人の心を理解し、思いやる誠実さ
気迫を持ってやり抜く力
この3つが揃えば、大抵のことは何とかなる。あまり考え込まずに、何事にも積極的にチャレンジし、思考と試行錯誤を繰り返す。この小さな習慣の積み重ねが運命を決める。良い本を読み、色々な人と出会う。何事も決めつけず、学び続ける。また、新しいことにチャレンジしていく。この循環が夢や目標を叶える。
そして、一つの成功が多くの人たちを幸せにしていく。
卒業生の皆さん、おめでとう。
次代を担うリーダーとして、皆さんの大活躍を期待しています。